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嚥下障害かな?と思ったら

どの病院で診てもらえばいいの?

まずは、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、神経内科、消化器科、歯科、歯科口腔外科、などを受診することをおすすめします。

最近、嚥下障害への関心が高まっています。言語聴覚士は法律で定められている嚥下障害の専門職ですし、嚥下障害の認定看護師制度もできて、嚥下障害の専門家も増えてきていますが、まだ数は多くありません。

口から食べることの大切さ

昔は口から食べられなくなれば、それで死が訪れました。しかし、医学が進歩するにつれて、食べられなくなっても生き続けることが可能になりました。嚥下障害の方は、医学的には経管栄養(*)で生命を安全に維持できます。ところが、口から食べる機能を残している患者さんに対しても、安易に経管栄養を行うという弊害が生まれています。上手に訓練すれば口から食べられるはずの人が、鼻から管で栄養をとっているというのは大変不幸なことです。

食べることは動物の根源的な欲求です。「味気ない」とはよくいったもので、口から食べられない人生はなんと味気ないことでしょう。より自然に、より人間的に生きるとはどういうことかを考えると、口から食べる意義がおのずとわかってきます。

味覚は脳を刺激し、精神活動を賦活します。また、口から食道を通って胃に運ばれた食物は、直接注入された栄養より消化吸収もよく、下痢なども起こしにくいと思われます。口から食べるための訓練には時間と労力がかかりますが、食べられるようになったときの喜びは何ものにも変えがたい貴重な宝であると信じています。

※鼻からチューブを入れて胃に直接栄養を流し込む方法や、「胃ろう」という穴を胃に空けることで、胃に直接栄養を流し込む方法などがあります。

(浜松市リハビリテーション病院 院長 藤島 一郎)

食事を摂る際の7つのポイント

嚥下障害と診断された場合、誤嚥のリスクもあるため、食事方法には注意する必要があります。ここでは、一般の高齢者および嚥下障害が疑われる方への、食事方法のポイントを説明します。ただし、詳細は、専門医や医療関係者の指導を受けられることをお勧めします。

  1. 食事を始める前に、手・口・のどがきれいであるかを確かめてください。
    口腔内をきれいにすると誤嚥性肺炎が減る、と言う研究もあります。
  2. 食事に集中できるよう、テレビを消す等して、環境を整えます。
  3. 食べる前に準備体操と呼吸訓練をします。
  4. いつもの食べなれた姿勢が一番ですが、むせが強いときなどはリクライニング椅子などを利用して、30〜60度など、仰臥位で食べるとよいでしょう。ただしこのとき、必ず頸部を前屈しておくことが大切です。詳細は下図をご参照下さい。
  5. よく噛んで味わいながらゆっくり食べるように指導してください。
  6. 食事の時間を決めて1日のリズムをつくります。
  7. 食事の後も必ず歯を磨いて、口をゆすいで、うがいをし、口とのどの清潔を保ちましょう。(口腔ケア)
    また、食後にお茶を飲む習慣は、口とのどの衛生に効果的です。

口腔ケアの大切さ

誰でも食べた後には口の中が汚れますが、口唇や舌の動きが悪かったり、感覚の低下があったりすると汚れがひどくなります。食物がのこっているとわかっていても飲み込めなかったり、感覚が麻痺していて残っていることに気づかない、などのためです。入れ歯があると歯と歯の間や入れ歯と歯肉の間に食物が残りやすくなります。

このような状態を放置しておくと細菌が繁殖して、歯や歯茎には歯垢がつき、下には舌苔がつき、粘膜は炎症を起こしてきます。口臭がして、食物の味が悪くなり、いつも口の中が粘りついて不快な気分になります。

対策は、食前と食後に必ず口腔ケアを行うことに尽きると思います。食後にお茶や白湯を飲む習慣は口の中をきれいにする役割があります(同時にのどもきれいになります)。しかし、これだけでは不十分で、ブラシを用いてしっかり口腔ケアを行わなければなりません。歯だけではなく歯肉や舌など口腔内全体もきれいにしましょう。

ちなみに、意識障害や嚥下障害などで食べていない患者さんでも放置しておくと、唾液や痰、分泌物に細菌が繁殖して、驚くほど口の中は汚れてしまいます。どんな状態にあっても、口腔ケアを忘れないようにしましょう。

(浜松市リハビリテーション病院 院長 藤島 一郎)

食事する際の体位「30度仰臥位(ぎょうがい)頸部前屈(けいぶぜんくつ)」

30度仰臥位頸部前屈リクライニング位の中で、30度仰臥位(さんじゅうどぎょうがい)は、右の図のように頭部を起こすような姿勢を指します。

この姿勢では、気管が上で食道が下になるので、解剖学的には誤嚥が起こりにくくなります。

無理なく、おいしく食べていただくためのポイント

ポイント1

基本的には3度の食事で栄養を補給するのがベストです。ただし、一度にたくさん食べられなければ、午前10時と午後3時に水分と栄養の補給を考えるようにしましょう。
こうすることで脱水や栄養不足を来さず、嚥下障害の予防にもつながります。ご家族や介護者のきめ細かい配慮が大切です。

ポイント2

高齢者の場合は、栄養的にあまり神経質にならず、好きなものを食べてもらうことが良いこともあります。あれはいけない、これもいけない、薄味が良い、良質のたんぱく質が良い、などは気にしていると本人の食欲がなくなって、かえって重篤な事態を招きかねません。


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